【硫黄被覆肥料の特徴】 |
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溶出期閻の異なるタイプの活用で「環境」「安心」「省カ」に貢献
硫黄被覆肥料は高度化成、または尿素を硫黄とワックスで被覆(コーティング)し、土壌中で微生物の働きにより被膜が徐々に分解されることで内部の成分がゆっくり溶け出す(溶出)ようにした肥料です。
肥料成分がゆっくりと溶出するため
- 作物の肥料成分の吸収効率がアップし、施肥量を減らすことが出来る。
- 作物の肥料成分の吸収効率がアップし、地下水等への流亡が少なく環境に優しい。
- 長期問肥料成分が供給されるため施肥回数を減らすことができる。
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等の利点があります。
また、硫黄の被膜は土壌中で微生物の働きによ1〜1.5年でボ□ボ□に崩壊し、さらに機械による耕x等でコナゴナになります。その後、微生物の働きにより硫酸根(SO4)となり、植物や微生物に吸収されます。ワックスは約1ヶ月で微生物により水と炭酸ガスに分解されます。
したがって、硫黄被覆肥料は被膜が全て生分解性の物質で、しかも被膜の主成分が作物の養分となる唯一の被覆肥料です。
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■被膜の構造と肥料成分の溶出 |
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【硫黄被覆肥料の構造】 |
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1) |
生分解性ワックスが微生物により分解。 |
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2) |
ピンホールから水分が浸透し、肥料成分が溶解。溶出が始まる。 |
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3) |
硫黄も微生物により分解され、肥料成分の溶出が更に進行する。 |
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4) |
肥料成分が溶出終了後の硫黄は微生物により分解され崩壊が進行し、最終的には完全に分解される。 |
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硫黄皮膜の分解性
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【硫黄皮膜肥料の土壌phへの影響】 |
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土壌に硫黄を施用すると土壌のpHを酸性化することがしられていますが、硫黄皮膜肥料の場合、硫黄が塊状で酸化される速度が非常に緩やかなため、急激なpHの低下は起こりません。若干低下しますが、通常の石灰資材等の施用で十分に強制される程度です。 |
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【硫黄の必要性】 |
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硫黄は作物の必須養分です。 |
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一般に肥料成分の吸収比率は、 窒素(N):りん酸(P2O5):加里(K2O):硫黄(S) = 10:4:6:3 と言われており、日本国内では硫黄が肥料成分として認可されていないためあまりその必要性が認識されていませんが、その吸収量は非常に多く、作物によってはりん酸以上に必要とされています。日本に火山灰性の土壌が多いといっても、これだけの量が吸収されているのですから当然補給してやる必要がありますし、沖積性の土壌ではなおさらです。
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作物の硫黄と燐の吸収量 (kg/ha)
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作物名 |
硫黄(S) |
燐(P) |
S/P |
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タマネギ(ユリ科) |
21.3 |
20.2 |
1.1 |
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キャベツ(アブラナ科) |
32.5 |
12.3 |
2.6 |
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かぶ(アブラナ科) |
33.6 |
20.2 |
1.7 |
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アルファルファ(マメ科) |
24.7 |
23.5 |
1.1 |
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クローバー(マメ科) |
19.6 |
20.2 |
1.0 |
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トウモロコシ(イネ科) |
10.1 |
29.1 |
0.4 |
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小麦(イネ科) |
11.8 |
14.6 |
0.8 |
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●硫黄はアミノ酸 ビタミン類の構成成分です。 |
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アミノ酸やビタミン類が植物の生育のためだけでなく、食物の栄養分としても重要であることは既知のことですが、これらの構成成分として硫黄が非常に重要であることはあまり知られていません。硫黄が不足するとシステイン、シスチン、メチオニンなどの硫黄を含むアミノ酸の合成が抑制されるばかりでなく、ビタミンB1の合成も抑制され作物の品質低下をまねきます。 |
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●ネギ類のにおい成分、辛み成分と抗菌性 |
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ニンニクやタマネギなどのネギ類は独特の香味と辛みを有していま丸これらの成分はすべ
て硫責を構成元素として含んでおり、割や味だけでなく抗菌性物貫として病原菌の感染
を防除することがわかっています。この中で特に重要なのがアリインと呼ばれるアミノ酸で、ネギの表面に傷が入ったり病害虫によって細胞に傷がついたりすると酵素の作用でアリシンという物質に変わり、このアリシンがビタミンB1を活性化して強い抗菌作用を示し病原菌への感染を防ぎます。従って硫黄が不足するとこの作用が低下してしまいます。
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●硫黄はりん酸の吸収を促進します。 |
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りん酸は土壌粒子によって固定化され作物に吸収されにくくなる性質があります。日本の土壌は一般にりん酸吸収係数が高く、せっかく施肥されたりん酸のかなりの量がこの作用により不溶化してしまいします。
分子状の硫黄を散布すると、これらが酸化される過程で不溶性のりん酸が有効化することがわかっており、結果としてりん酸の吸収効率が上昇します。 |
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